借地権に関する話

借地に関する話を一つご紹介させていただきます。

昭和30年頃、深刻な住宅難の折りAさんが友人のBさんに、畑にしていた自宅の隣の土地を貸しBさんはその土地を借り、家を建て住み始めたとします。

Aさんは友人のよしみで、権利金も頂かず、契約書さえ作成せず、固定資産税+α程度の地代でBさんに土地を貸していました。

時は流れ、令和となり現在その土地はAさんの孫Cさんの所有となり、建物はBさんの孫Dさんの所有となり、地代も固定資産税+都市計画税の4倍程度の金額に改定されておりました。

ある日Cさんは自分の子や孫の将来を考えDさんに対し「近い将来、土地を返還していただけないか」と相談してみました。しかし、Dさんは「この土地には借地権があるので地主に土地を返せと言われても応じることはできない」と言い、断りました。

困ったCさんは知り合いの不動産会社に相談すると、Dさんの言うことはもっともで、法的に立ち退いていただくには「正当事由」が必要であり、それ以外の方法としては交渉して借地権を買取るしかないと言われました。

買取り価格についても、借地権比率が70%の地域なので更地価格の70%程度に加えDさん所有の建物価格、更に引越し費用や場合によっては引越し先の不動産仲介手数料等、移転にかかる経費も請求される場合があるとのことでした。

その総額は、今まで頂いてきた地代の総額を軽く超える金額に思えてCさんは諦めてしまいました。

戦後の住宅難の折り、祖母(Aさん)が好意で貸した土地が時を経て事実上地主に戻らないことを思い知り、Cさんはやるせない気持ちでいっぱいになったことでしょう。

実に理不尽な話だと思いますが、このような話は現実問題として数多く存在します。

令和の現代においても法の考え方は変らず「借地人=弱者」です。

旧法下において契約された土地賃借権(旧法借地権)は新法施行後も旧法の規定により生じた効力を妨げられることがないとされています(借地借家法 附則第4条ただし書き)。             従って、裁判所においても借地人保護の観点が非常に強く残っている原因と考えられます。

その旧法借地権を売買により手に入れた新借地権者が、社内弁護士を抱えたプライム市場上場企業というケースも実際に存在します。

地主が一般個人の場合、果たして本当の弱者はどちらなのでしょうか。

2025年8月9日

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