更新料について8
更新料支払いに関する合意があるのに更新料を払って頂けない場合、地主はどのように対応すれば良いでしょうか。
更新料支払いに関し法的に有効な契約書、或いは合意書があるにも関わらず借地人が更新料を払わない場合の対応について説明します。
この場合、結論から申し上げて賃貸借契約の解除は有効と解します。
昭和59年4月20日、最高裁判所における更新料の不払いに関する契約解除について解除を肯定した判決が示されました。裁判所の判断として「本件更新料の支払いは、賃料の支払いと同様、更新後の本件賃貸借契約の重要な要素として組み込まれ、その賃貸借契約当事者の信頼関係を維持する基盤をなしているものというべきである。したがって、その不払いは、右基盤を失わせる著しい背信行為として本件賃貸借契約それ自体の解除原因となりうるものと解すべきである。賃貸借契約の解除を認めた原審の判断は是認できる。」(後藤昌夫 稿/内田勝一・山崎俊彦 編 借地借家に裁判例 第2版 47頁)という考えが示されています。
この判決を踏まえ、ご自身の土地賃貸借契約において更新料不払いが発生した際は、先ず契約書或いは合意書等の更新に関する記載部分を確認しましょう。そして、法的に有効な合意が確認できた場合、借地人に対し内容証明郵便で支払い期日を定め督促します。その際、期日までに支払いがない場合は契約を解除する旨の意思表示をしておきましょう。
そして、支払い期日に入金を確認できないとき、契約解除は有効と判断し、借地人に対し建物収去土地明渡請求訴訟を提起します。
以上が借地人による更新料不払いに対する地主が取り得る有効な対応の一つと考えています。
勿論、支払いに関する合意がある以上、任意に払って頂くための努力も必要ですが、借地人との協議において取り付く島もないという状況も実務的には存在します。地主が持つ最終手段としてこのような方法があることを知識として知っておくことは精神的な後ろ盾となりますので覚えておくと良いでしょう。
尚、訴訟となれば弁護士を選任しなくてはなりませんが、実は弁護士にも得意分野があるので不動産トラブルを得意とする弁護士を選任するようにしてください。心当たりがない場合、不動産に強い弁護士を紹介する民間のサイトを活用しても良いですし、各都道府県の弁護士会に設置されている弁護士紹介センターを利用されても良いと思います。勿論、弊社に問い合わせて頂いても、お話を伺い必要に応じて不動産トラブルを得意とする弁護士をご紹介致します。弊社への相談及び弁護士紹介に費用はかかりませんので安心してご相談ください。
2025年10月10日