借地人が、地主に無断で借地の一部を月極駐車場として第三者に賃貸していた場合(1)。

「地主のための借地権管理術」出版にあたり、掲載内容に関する実務対応についてより詳しく知りたいというお声を頂きました。ここでは、書籍では記載しきれなかった詳細な実務対応について解説して行きます。

表題のケースについて、「地主のための借地権管理術」では121ページの [事例2␣借地の用法違反] にて、借地人の行為が用法違反と土地の無断転貸に抵触する旨を解説しました。

同時に、法律に違反していても、その行為が地主に対する背信的行為と認められなければ契約を解除することができないという判例も紹介しました。

書籍では、実務対応は専門家(賃貸不動産経営管理士、弁護士等)に相談することをお勧めしていますが、では実際に専門家はどのような手法で対応するのでしょうか。

勿論、各専門家において対応の仕方はそれぞれ異なります。

ここでは弊社がプロ地主としてどのように対応するかを解説して行きます。

⒈先ず、借地人に対し、当該行為が用法違反であり、そして土地の無断転貸にもあたり重大な契約違反であることを通知し、至急地主側と協議をするよう申し入れます。この場合、通知の方法は内容証明郵便で行います。(内容証明郵便に関しては「地主のための借地権管理術」29ページをご参照ください。)

⒉地主側からの通知に対し、連絡をくれる借地人と、通知を無視する借地人と、大きく2種類に分かれます。

⒊連絡をくれた借地人に対する対応としては、先ず面談を行います。電話やメールのやり取りではなく、必ずお会いして話をします。(やむを得ない事情がある場合に限り、オンラインでの面談を検討します。)

⒋面談の冒頭、当該行為が用法違反であり、そして土地の無断転貸にもあたり重大な契約違反であることを通知した根拠を説明する旨を伝え、関連する法律の条文(この場合民法594条及び612条)を見せながら読み聞かせます。

⒌その後、当該行為が背信的行為に該当するか否かについて協議します。(背信的行為とは主に「当事者間の信頼関係を破壊する行為」という意味です。)その協議において、背信的行為とみなされた場合の裁判例を紹介し、判決の要旨を説明します。これは、次に説明する地主による救済措置(案)に関連する重要な説明となります。

⒍法律に違反する行為を、適切な手続きを取らず、地主に無断で行っていた行為をどのように考えるか。仮に、借地人が当該法律を知らず行為に及んでいた場合、地主からの通知を受け、関連する法律の説明を受け、裁判例の説明を受け、①直ちに当該行為を止める。又は、②今からでも手続きを取り駐車場経営を継続する。何れかの選択を期間を定め借地人に検討して頂きます。

⒎借地人が①を選択した場合、月極駐車場の終了を確認し業務完了となります。

⒏借地人が②を選択した場合、借地条件の変更及び土地賃借権の転貸を地主が承諾する代わりに、法律上認められた範囲で承諾料として財産上の給付を求める旨を説明します。具体的には見積書を提出します。

⒐承諾料について合意ができたら、当事者で承諾料の支払い方法、支払い時期等の詳細を協議し、合意した内容を書面にします(合意書を作成します)。その際合意書に「地主が借地人に対し、承諾料の支払いをもって、借地の一部で月極駐車場経営を行う行為を追認する」という一文を記載します。後は合意書通りに承諾料の支払いが実行されたことを確認し業務完了となります。

ここまでが、通知(内容証明郵便)に対し、「連絡をくれた借地人」に対する弊社で行う一般的な実務の手順です。

次回は、通知(内容証明郵便)に対し、「連絡をくれない借地人(通知を無視する借地人)」に対する対応を解説します。

2026年1月16日

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