判例から学ぶ不動産管理術1
「受取地代の金額が、固定資産税及び都市計画税の合計額を下回っている場合」
<問題提起>
実務的にあまり例のないケースだと考える方もいらっしゃると思いますが、過去弊社がお預かりした土地賃借権設定地において実際に存在した事例が何件かありましたので今回問題提起させて頂きました。
皆様は現在賃借人から受取っている地代が、現在支払っている公租公課(理解しやすいよう、ここでは主に固定資産税及び都市計画税の合計額とお考えください。なお以下「固都税合計額」と称します。)を下回っていることに気づいたとき、当然のこととして賃借人に対し地代改定(値上げ)を求めるのではないでしょうか。
不動産を他人に貸し付けるという行為は立派な事業です。事業を行っている以上、赤字を出すわけにはいかず、むしろ積極的に利益を追求する姿勢こそ正しい事業主(地主)のあり方と私は考えております。
しかし、一定の根拠に基づき適正地代を算出して値上げを求めても、借地借家法第11条2項に規定されている通り、裁判所において金額が確定するまでは、賃借人は自らが相当と認める地代を支払っていれば(たとえその額が固都税合計額を下回っていたとしても)地主は直ちに債務不履行を主張できません。
<参考条文>
【借地借家法第11条2項】
地代等の増額について当事者間に協議が調わないときは、その請求を受けた者は、増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等を支払うことをもって足りる。ただし、その裁判が確定した場合において、既に支払った額に不足があるときは、その不足額に年一割の割合による支払期後の利息を付してこれを支払わなければならない。
そこで地主として、問題解決を裁判所に委ねる前に何か対策がないか、次回参考判例をご紹介致します。
2026年7月10日