判例から学ぶ不動産管理術1-3

「受取地代の金額が、固定資産税及び都市計画税の合計額を下回っている場合」

<対策を解説>

前回の「事案の概要」に記された下線部を要約すると、「賃借人が自らの支払地代の金額が賃借地における固都税合計額を下回っていることを知っている場合、その金額で地代を払い続けても、相当な地代の支払いをしたことにはならない」という内容になります。

つまり、地主としてはまず賃借人に対し支払地代額が固都税合計額を下回っているということを通知し、そしてこの判例を認識させることが地代改定の第一歩となります。

実務的に受取地代が固都税合計額を下回る事態に至るまでの期間、相当低廉な地代が長期間設定されていたと考えられます。その間、地代改定に応じて頂けず、ついに固都税合計額を下回ったという設定で、内容証明郵便を作成すると次のような構成になります。

まず、受取地代が固都税合計額を下回ったということを伝えます。そして、裁判所がその状態をどのように考えているのか、今回ご紹介の判例要旨を記します。次に予め算出した適正地代を記し、何月分から改定するかも記しましょう。そして、対象年度の固定資産税及び都市計画税を記します(それぞれの税額と合計額も記します)。現在の受取地代年額(月額地代×12か月)も記しておくと比較しやすいと思います。勿論、適正地代について当事者間で協議の場をもつ用意のあることを伝え、その場合、日程等を決める為に連絡を頂けるよう要請します。締めくくりに、通知後も同じ地代を一定期間払い続けた場合、判例に従い借地契約解除を求める法的手続を進める旨を記します。

(次回内容証明郵便に記載する文章サンプルを紹介致します。)

また、内容証明郵便に記した税額の証拠資料として、固定資産税・都市計画税課税明細書の写し、又は関係(公課)証明書を取得して賃借人に配達記録の残る方法で郵送します。適正地代の根拠として、計算式等を記したものを同封しておくと良いでしょう。

通常、ここまで記された内容証明郵便等を受け取った賃借人は、大事にならないよう何らかの方法で地主に連絡をしてくるものです。しかし、中には全く態度を改めない残念な賃借人も事実存在します。通知後3ヶ月以上リアクションが無い場合、ためらわず弁護士に相談することをお勧めします。(不動産問題に精通した弁護士を選びましょう。)

また、一切の連絡も無く、こちらから通知した固都税合計額をわずかに上回る額を支払ってきた場合も、弁護士を通じ調停の申立てを起こし問題解決を図りましょう。

このような賃借人に対しては、一度毅然とした態度で臨まなければ状況を変えることはできません。問題を先送りにすれば苦しむのは後継者です。裁判所は賃借人保護の観点が強い傾向にあると考えられていますが、余りにも酷い賃借人に対しては、今回ご紹介の判決のように賃借人に対し厳しい判決が下されることもありますので、まずは不動産問題に精通した弁護士に相談してみましょう。

次回は内容証明郵便に記載する文章サンプルを紹介致します。

2026年7月24日

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