判例から学ぶ不動産管理術2-3

「借地上の建物における堅固建物、或いは非堅固建物の判定」

<対策>

 実は同様の判決が平成28年8月21日、大阪地方裁判所において示されています。

本文末尾に判決の要旨を記していますので、後ほどご確認ください。

(本書への掲載は割愛しますが、他にも平成2年1月14日、東京地裁。平成10年2月6日、東京地裁等でも同様に軽量鉄骨造を非堅固建物とした見解が示されています。)

また、判例及び学説において次のような記述があります。「軽量鉄骨造りは一般に非堅固建物とされます。重量鉄骨造りであっても、ボルト、ナットで組み立てられた、解体の容易な建物について非堅固建物と認定した判例があります。コンクリートブロック造りの1階の上に木造の2階が乗っているような建物は(全体として)堅固建物とみるべきです。」

(弁護士 荒木新五 借地借家法 20~21頁)

 このように「一般的な軽量鉄骨造=非堅固建物」という見解は私たち専門職の間では実務上、日常的に判断されている内容でもあります。

 以上を踏まえ、非堅固建物所有目的の借地人から軽量鉄骨造の一般的な住宅への建替え相談があった場合、地主として争いは避け、木造と比較して若干耐震性に優れている点、また耐用年数も若干長い点等を考慮して、承諾料に1%~2%程度加算する方向で交渉することをお勧めします。

 余程特殊な軽量鉄骨造以外、裁判所から堅固建物と認められる可能性はありません。

大阪地方裁判所平八(モ)第50559号

平成28年8月21日第一民事部決定

[事件のあらすじ]

阪神大震災により、非堅固建物所有目的による土地賃借権上に所有していた木造建物が全壊してしまった賃借人が、新たに軽量鉄骨造により居宅を建替えようとしましたが、地主から借地条件に違反しているとの異議申し立てが行われ争われたケース。

[決定の要旨]

堅固の建物と非堅固の建物との区分は、新しく制定された借地借家法において廃されているように、技術が著しく向上した今日の建築の実情には合致せず、これらを区別することが次第に困難となってきていることは否めない。しかし、堅固の建物の例として鉄筋コンクリート造建物があり、非堅固建物の典型に木造建物が存在することは一般に承認されているところであり、しかも、現在の技術水準においても両者の耐久性等の相違は歴然としている。したがって、本件建物が、堅固・非堅固いずれに属するかについては、鉄筋コンクリート造建物及び木造建物に比較しつつ判断しなければならない。そして、ここにいう木造建物とは、借地法制定当時の木造建物を想定するべきではなく、現在の技術水準に照らし通常の木造建物を基準としなければならない。

 本件建物は、その構造から判断して一般向けの軽量鉄骨プレハブ建築というべきものである。そこで、本件建物の堅固性につきみるに、前記認定の事実によれば、鉄筋コンクリート造建物と比較した場合、耐震性及び耐火性はかなり優れている〔住宅金融公庫が定める準耐火構造に準ずる構造(省令準耐火構造)〕と考えられるものの、鉄筋コンクリート造建物に劣ることは否めず、耐久性、堅牢性においては、これよりも遥に劣ると推認することができる。また、建物の構造体は原則的にボルトによって緊結されているのであってこれを緩めることにより容易に解体撤去が可能である。したがって、両者間には著しい差異があり、本件建物は、鉄筋コンクリート造建物と、その堅固性において大きく異なっていると考えられる。このことは、資産税法上、建物の耐用年数が、鉄筋コンクリート造のものは六〇年、骨格材の肉厚が三~四ミリメートルの金属造りのものは三〇年、木造のものは二四年とされていることからも窺える。

 さらに今日では、木造建物でも、その使用材料と施工方法により、耐久性、耐震性、耐火性を高めたものがあり、これらは広く一般向けに販売されている。本件建物は、昨今の木造建物と比較すると、ほぼ同等又はやや優れている程度である。

 債権者らは、本件建物の一階部分の土間にコンクリートが使用されていること、地盤改良工事がなされていることをもって、本件建物の堅固性を基礎付けようとする。しかしながら、前者については、土間コンクリートは木造店舗建築等において通常見られるものであり、建物の堅固性に影響を及ぼすものであるとまで認めるに足りない。また、後者についても、軟弱な地盤においては木造建物の建築に際しても地盤改良が求められることは論を待たないところ、前記のとおり本件現場の地盤は軟弱というのであるから、必要な地盤改良工事がなされていることをもって、本件建物の堅固性を基礎付けることはできない。

 以上のとおりの事情を総合考慮すれば、本件建物は借地法上の堅固建物と認めることはできないというべきである。

2026年9月11日

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