地代改定の法的根拠3(復習)
前回に続き借地借家法第11条1項を下記の通り番号を付け復習解説します。
地代又は土地の借賃(以下この条及び次条において「地代等」という。)が、 ①土地に対する租税その他の公課の増減により、 ②土地の価格の上昇若しくは低下 ③その他経済事情の変動により、又は ④近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったときは、 ❺契約の条件にかかわらず、当事は、❻将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる。ただし、 ⑦一定の期間地代等を増額しない旨の特約がある場合には、その定めに従う。」
今回は❺と❻について解説致します
❺「契約条件にかかわらず」とは、簡単に言えば契約書に特段地代改定の一文が記されていなくても、当事者はいつでも地代の値上げ或いは値下げを請求することができるという意味です。当事者は条件さえ整えば値上げ請求或いは値下げ請求はいつ行ってもその正当性は主張できます。決して契約更新まで地代改定を我慢することのないようご注意ください。
ここで、先月27日のコラムから、下記判例を引用し再度ご説明致します。
「賃料増減請求と一定期間の経過」最高裁判所平成3年11月29日判例。
「…現行の賃料が定められた時から一定の期間を経過しているか否かは、賃料が不相当となったか否かを判断する一つの事情にすぎない。従って、現行の賃料が定められた時から一定の期間を経過していないことを理由として、その間に賃料が不相当となっているにもかかわらず、賃料の増減請求を否定することは、同条(法)の趣旨に反するものといわなければならない。」
つまり値上げに限って解釈すると、「例えば昨年度に値上げした地代でも、今年度も固定資産税の増税があれば、その増税額に相応しい地代に再度値上げすることは法律の趣旨に反するものではない。」という意味になります。判例的には条件が整えば毎年値上げしても合法といえますが、円満な契約関係を維持するためにも、実務的にはやはり(単年度の増税幅が大きくない限り!)3年毎に行われる固定資産税評価替え年度に合わせ、借地人に対し値上げの申し入れを行う事をお勧め致します。
❻「将来に向かって地代等の額の増減を請求することができる」とは、過去の時点から改定した地代を請求することはできないという意味です。例えば、本日が2025年7月18日ならば8月分からの地代改定請求は認められても、6月分から請求することはできないという意味です。
次回は、⑦について復習致します。
2026年3月27日
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